投資を始めるのは早ければ早いほどよい。これには2つの意味がある。一つは、投資は経験が大切であること、もう一つは投資により複利効果を利用して資産形成ができることである。以下、それぞれについて述べる。
1.投資は経験が大切であることについて
投資は経験がものをいう。筆者が行っている国際分散投資でも、振れる時は一気に20%くらい全投資資産の価格が上がったり下がったりする。これに耐えられるだけの経験を積んでおくことが肝要である。
長期的に見れば、国際分散投資の場合、年利換算で概ね4%から6%の間位に落ち着くとされるが、そこに至るまでには少なくとも15年程度は欲しいところである。従って、20年後とか、30年後といった長期運用後に使うことをイメージしてみるとよい。具体的には、15年といえばちょうど子供が生まれたことをきっかけに、子供の大学資金を形成するというイメージである。20年後、30年後となると、多いケースはリタイア後の資産形成であろう。米国のトリニティスタディという有名な研究があるが、そこでは年利換算4%という数字が示されており、上述の数字は全く根拠がない数字ではない。
問題はこの数字に落ち着くまで、短期的にはずいぶん投資資産が上がったり下がったりすることである。世界経済が破綻するような大惨事でも起きれば別だが、それでも概ね10年に1回くらいは〇〇ショックと名の付くような金融危機が世界を襲う。筆者が行っている国際分散投資はすべてインデックス投資であるから、当然これらの直撃を食らう。それでも、投資資産が半分になることはまずない。
とはいっても、一時的とはいえ、20%の減少は初心者にはかなりこたえる。プロスペクト理論でよく引き合いに出される例のように、人は必ずしも合理的に行動できない面がある。ここはつまるところ、自身のリスク許容度の範囲、つまり少額で早く投資を始めて、実体験をたくさん積むしかない。すなわち、投資は経験が大切であり、早く始めて多くの経験を積めば積むほど熟達度が増すといえる。
2.投資の持つ複利効果について
アインシュタインが複利は人類による最大の発明だというように、現在多く行われている再投資による資産形成過程においては複利の効果がものをいう。ここでは話を単純化して分かりやすくするために年5%でコンスタントに運用できる場合を考えてみよう。この場合、100万円投資したとして、1年後はその100万円が105万円になることはよい。ここまでは単利の場合と同じである。問題は、その翌年は110万ではなく、110万2500円になることである。その翌年は115万ではなく、115万7625円である。このように、言ってみれば、利息が利息を生む形になる。資本主義社会においては、お金はそれそのものがお金を生み出すのである。
これが長期投資になると、15年後の場合、単利の場合は175万円であるところが、複利で運用されるため、211万3704円となる。30年後は、単利の場合250万円であるところが、複利で運用されるため446万7745円と加速度的に資産形成のスピードは速まる。
まとめ
上述してきたように、2つの理由から、筆者は投資初心者には、少額でよいからできるだけ早く投資を始めることを推奨している。少額でも経験をつめば、運用額を増やすことができるタイミングも早まり、運用額が増えれば、それだけ複利効果を享受することができるからである。
筆者の国際分散投資の方法だと、月々2000円からの投資ができる。月々100円でもよいが、できるだけ早く投資を開始して、家計面での充実した将来設計をして頂きたいと願う次第である。