医師のキャリア

メディカルドクター(MD:製薬企業内医師) -そのやりがいー

以前、メディカルドクター(MD:製薬企業内医師)についてイントロダクションを書いてみたが、今回はそのやりがいについて書いてみたい。

MDの最大のやりがいは、何といっても、薬剤を通じて多くの患者さんの健康に貢献できることであろう。

もちろん、臨床医は目の前の患者さんを的確に診断し、あるいは治療することにより、直接的にその患者さんの健康に貢献できる。実際に、患者さんから感謝の言葉を直接頂くことも多い。これは、皆さんもイメージしやすいであろう。

一方で、MDの仕事では、患者さんに直接接することはまずない。しかし、例えば、それまで有効な治療法がなかった疾患を持つ多くの患者さんに対し、新薬が提供できれば、多くの患者さんの健康に貢献できる。

規模についていえば、新薬を一つ提供するのに数百億から数千億の予算が必要となる。したがって、MDが所属する企業は、これだけの予算を扱える企業ということになり、大企業も多くみられる。

欧米では、新薬の開発は医療行為の一環という考え方がある。したがって、多くの外資系企業では、MDが新薬の開発の意思決定に深く関わる。最近は、大手の内資系企業もMDを採用し、新薬の開発の意思決定に深く関与させている。

このような動きの背景には、新薬開発のグローバル化がある。最近の新薬開発はグローバル化してきており、米欧日の共同開発というスタイルが最近はよくみられる。グローバル本社をどこにおくかはともかく、会議も米欧日のメンバーで頻繁に行われる。そして、会議での言語は通常英語であり、ビジネスレベル以上の英語によるコミュニケーション能力が求めらる。会議の時間帯は、米欧日同時ということになるため、日本時間の夜が多い。

このように、新薬開発一つみても、国内のみならず、世界の多くの患者さんの健康に貢献できるのがMDのやりがいであろう。