ファイナンシャルプランニング

会社で最も権限を持っている人

会社で最も権限を持っている人は誰だろうか。それは社長だろう、と思うかもしれない。答えは社長ではない。この質問の答えを知ることは、資本主義社会を生き抜くうえで決定的な意味を持つ。

この質問に答えられるようになるためには、そもそも会社とは何か?という質問に答えられるようにならなければならない。通常、あまり真剣に語られないが、会社とは営利社団法人である。そしてここでいう営利性とは、会社が対外的活動により利益をあげ、それを社員に分配することである。

ここでいう社員とは、会社に雇用されている者のことではない。その会社の株式を保有する者である。すなわち、株主である。つまり、会社の組織構造上、株主は会社の所有者、つまりオーナーである。そして、会社は、株主が資本金を出資し、代表取締役をはじめとする被雇用者を雇い、利益をあげ、その利益を株主が受け取る仕組みとなっている。当然のことながら、会社の最終決定権は株主にある。社長は会社から雇われている身であるから、その意思決定に従わなければならない。

では、株主になるにはどうしたらよいか。答えは、その会社の株式を買うことである。株式を保有してこそ、資本主義社会において会社の最高決定権を持ち、社長をはじめとする被用者を雇用し、利益を得ることができる。

ここまでが、冒頭の問いに対する答えであるが、資産運用の観点からは一工夫する必要がある。一般の方には、特定の会社の株式を購入するのはあまりお勧めできない。リスクが高すぎるからである。すなわち、その会社が倒産すれば、株式は紙くずとなってしまう。

そこで作られたのが投資信託である。投資信託は一本購入するだけで、数百社、数千社という会社に細かく分散投資でき、リスクを低減できる。プロのファンドマネージャーが管理するため、長期的に見れば高いリターンが期待できる。

一昔前は投資信託の手数料が高く、資産運用にあまり向かなかった時代もあったが、昨今のインターネット証券の普及とともに、手数料の低減合戦が起こっており、かなり低い手数料で投資信託を購入することができる。したがって、資産運用の基本は現状では、投資信託と考えてよい。最近は、100円から投資信託は購入できる。

株式を投資信託という形で保有し、会社で最も権限を持っている人になるとともに、その投資信託の価値がどんどん上昇してゆくのを見るにつれ、資本主義社会の本質を肌で感じることができる。