医師のキャリア

メディカルドクター(MD:製薬企業内医師) -仕事の探し方ー

今回は、臨床医からMDへの転職を考えている方のために、仕事の探し方について書いてみたい。

結論から言うと、最初は人材仲介業者の門をたたくのがいいだろう。臨床医にとって、転職や仕事探しというと、医師専門の人材仲介業者を思い浮かべるかもしれない。確かに、臨床医の事情を熟知しているという点を考えると、それも選択肢の一つであろう。

私の意見だが、医師専門の人材仲介業者よりも、製薬業界に特化した人材仲介業のほうがよいと思う。それぞれの企業の求めているものなど、それぞれの企業にそれぞれの事情がある。こういった事情に関し、できるだけ精通しているところが望ましい。最近は、大手の人材仲介業者も、内部で、製薬専門チームを持っているところもある。そういったところもよいと思う。国内のMDの転職総数が少ないだけに、実際に、MDの転職をどのくらい扱っているか確認してみるとよい。

そして、求職者の立場に立って一緒に考えてくれるところが望ましい。同じ人材仲介業者の内部でも、担当者により対応が違うこともある。親身になって一緒に考えてくれる担当者がいい。少なくとも、相談するや否や、その時点で募集のあるものを片っ端から進めてきて、直ちに転職させようとする担当者からは距離を置いたほうが良い。人材仲介業の性格上、一度転職が決まれば、その案件に関し、人材仲介業者は転職者の年収の何割かの仲介料を得ることができる。中には、転職者や企業の事情などおかまいなしに、とにかく転職させることが至上命題になっている担当者もいるため注意が必要である。求職者の希望をよく聞き、根気よく仕事探しをしてくれる担当者がよい。

一度MDとなり、何年かすると、今度はヘッドハンディング業者からのヘッドハンディングが始まる。少なくとも日本の場合、企業が求めているMDが不足している状態であり、活躍しているMDにとっては売り手市場となる。このヘッドハンディングは、MDとなった後の話なので、ひとまず最初は考えなくてよい。

いずれにしても、臨床医が初めて企業のMDに就任するところが一番大変である。企業としても、企業未経験者となると、そもそも応募者が会社員として仕事ができる人なのか?という疑問から入る。複数社受けて、すべて謝絶、またしばらく時間をおいて応募してもまた謝絶ということも珍しくない。最初はかなり大変なことが多い。こういった状況でも、根気よく対応してくれる人材仲介業者の担当者を探すことが肝要である。