WGIP(War Guilt Information Program)を知っているだろうか。これはほとんどの日本人に関連する事項であるにも関わらず、これを知る人はほとんどいない。今回は、WGIPの実態とその副作用について述べてみたい。
WGIPとは第二次世界大戦後に、GHQ、正確に言うと米国により、二度と日本が米国にとって軍事的脅威にならないように巧妙に仕組まれた計画のことである。WGIPの巧妙さは、その存在が誰にも気づかれないように計画されたことにある。
WGIPの実態は、第二次大戦後、米国が日本占領中に、日本のマスメディアや日本の教育において、いかに第二次世界大戦中、日本が悪いことをしたかを、あたかもそれが真実であるかのように無意識的に日本人の思考に刷り込んだものである。いわば、日本人自身が悪者であるということを日本人の意識に植え付ける洗脳活動である。
WGIPは大成功した。日本人の多くは、日本がいかに第二次世界大戦中に悪いことをしたかを事実から乖離したところで強力に意識し、戦争の二文字ですべての思考が停止するほどの洗脳を受けた。
問題は、その副作用である。日本人はもともと「染まりやすい」民族である。第二次世界大戦中にマスメディアも教育も「鬼畜米英」と唱え、強烈な反米感情一色で染まったことの反動として、今度は戦後にマスメディアも教育も180度方針を転換して「日本は大戦中に悪いことをした」と繰り返す。それに呼応して、日本人も日本は大戦中に悪いことをしたのだとの意識一色となり、いかなる反論をも許さない状況が招かれた。戦後70年以上が経過しているが、日本人の意識に組み込まれたWGIPの成果は強力に活き続けている。
GHQは終戦直後に日本の非武装化を進めたが、朝鮮戦争の勃発とともに、再び日本の武装が必要となったため、日本政府に再武装を要求している。しかし、国民世論はWGIPで洗脳されてしまった思考回路でその米国の要求を正面から受け入れようとはしなかった。
もちろん、受け入れなかった理由には、日本人自身が大戦でひどい目にあってもうこりごりだという認識も強かっただろう。しかし、終戦から70年以上過ぎた今でも、相変わらず、マスメディアも教育も、WGIPに沿った計画を実行し続け、ほとんどの日本人も、あたかもそれが、自主的に自覚した意識であるかのように錯覚している。これは、WGIPを仕掛けた米国の誤算でもあり、軍事的に見ても米国の軍事オペレーションの中に日本を組み入れることの障壁となっている。これは、WGIPの成功に伴った強力な副作用といえよう。
昨今の国際情勢をふまえると、米国としては、本来であれば、日本を米国の軍事オペレーションに組み入れ、新たなる極東を中心とした脅威に備えたいところではある。しかしながら、WGIPを仕掛けた当の米国の大成功により、皮肉にも米国自身が日本人の意識的呪縛を解くのに苦労している。WGIPの副作用はすぐには解消しそうにない。