ファイナンシャルプランニング

投資と投機

先日、再び職場での昼食時に投資の話をした。以前、みなさんが、投資にアレルギーを持っていることを実感したことを書いたが、その原因がある程度分かった。それは、そういった多くの方は、投資と言いながら投機(トレード)をしているからである。

投資は成長するものに投じるものである。例えば、ある会社が成長すると思ったらその会社の株式を購入する。アセットアロケーション投資で全世界に投資する場合には、世界経済が成長すると思うから全世界投資をする。こういったものが投資である。一方で、投機は機会に投じるものである。すなわち、今上がるチャンスだから投じる、といった具合に、タイミングに投じるものである。

資産運用との関係でいえば、やはり投資がよいだろう。インデクスファンドを用いた全世界を対象としたアセットアロケーション投資であれば、初心者でも着実に資産形成をすることが期待できる。最初に資産配分を決めて、自身の給与口座から自動積み立てを設定しておけばあとはやることはほとんどない。することといえば、年1回程度のリバランスくらいなものである。初期投資分については、年平均4%で運用するとして、17、8年で資産が倍になる計算となる。これに毎月の積み立て部分の運用益が加わることになるため、着実な資産形成が期待できる。

一方で、投機(トレード)で資産形成しようとすると、投じる対象が上がるタイミングを推測しなければならない。このタイミングは、テクニカル分析といって、チャートの分析技術である程度推測できるようになる。投機をするためには、このテクニカル分析の技術を身につけなければならない。これを身に着けるためには、かなり質の高い講座などを利用しても通常数年はかかるし、分析に費やす時間も考えなければならない。平日はほとんど毎日、チャートの分析をすることになる。もちろん、資産運用の観点から年4%程度では足りず、より高い利回りを目指すというのならやる価値はある。

ここまで読んでいただければ賢明な皆さんは理解できたと思うが、冒頭で述べたいわゆる自称投資アレルギーの方は、投資といいながら、実はテクニカル分析の技術を身につけないまま投機をしていることが多い。具体的には、上がると思って買ったのに、下がってしまった、だから投資はギャンブルだ、やるべきではないというような事例が典型的なものであろう。当然のことである。身に着けるべき技術を身につけないまま、自身の大切な資産を投じているのだから。投機をするならするで、まずはチャートのテクニカル分析を身に着けるべきである。

繰り返しになるが、私は投機を否定しているわけではない。きちんとしたテクニカル分析技術を身に着ければ、年利にして50%程度あるいはトレード頻度によってはそれ以上の運用を行うことも可能であり、アセットアロケーション投資よりも高い利回りを期待できるからである。本腰を入れて、時間をかけてより高い利回りを目指す人は取り組んでみてもよいだろう。

投資アレルギーには2つの種類がある。1つは、そもそも投資と投機の違いが理解できていないケースである。もう1つは、投資をするつもりで無意識的に投機をしてしまっている場合である。いずれにしても、投資は投資、投機は投機、と常に意識して分けて考える必要がある。まずはここからスタートしてみよう。